ポルト0(8-7)0オンセ・カルダス (横浜国際 TOYOTA CUP)
 TOYOTA CUP が幕を閉じた。南米12勝欧州12勝で迎えた最終戦は欧州に軍杯が挙がった。サッカー不毛の地日本で、本物を直に感じられるのはめったに無い機会であった。四半世紀という時間の中でしかし、枯れ芝は世界に誇れるほどの緑に変わり、客席から試合を盛り上げるホーンが消え、国内リーグが成功し、思いもしなかったワールドカップもやってきた。衛星放送の恩恵をうけ、今やここ日本ほど世界のサッカーを楽しめる場所は無いという。なにより代わったのは、このインターコンチネンタルよりも、直前に行われたチャンピオンシップ等のほうがチケットは売れたという事実である。サッカーという文化が成熟してきたのだろうか。個人的にはこの大会が無くなってしまうことに寂しさを覚える一方で、関係者達に共通の認識として、その役割を終えた、との声が聞こえるのには、なるほどとはうなずかづにはいられない。それはともかく、この大会をプロモートしてくれた方々にはこころよりの感謝と尊敬をしたい。歴史に興味があればこちらは必見 -スポナビ- 。
 試合のほうは、圧倒的な攻撃を繰り広げるポルトに対し必殺のカウンターを仕掛けるオンセ・カルダス。ここ数年のまさにトヨタカップそのもの。前半全く攻めることが出来なかったオンセ・カルダスだが、後半は盛り返し、試合を盛り上げた。その一番の要因は、ポルトの右サイド、セイタリディスを封じたことにあったと見る。前半、オンセ・カルダスのソトにその主導権をにぎらられたがために、セイタリディスは全く機能しなかった。逆に前半の終わりから後半にかけてオンセ・カルダスの右サイド、ビアファーラが散々攻めあがった。つまりはボールは支配されてもサイドは完全に掌握していたのだ。ここに、モントージャ監督の手腕を見たように思う。確かにGKエナオは素晴らしかった。ポストやバーに乾いた衝撃音が何度も響いたが、あれは、エナオが素晴らしかったからでもある。ほんの少し、必ず触ってボールの軌道を変えていた。PK戦においても同じように反応しながら敗れ去ったのは皮肉としか言いようが無い。個人で言えば、PKを決めることができなかったファブロも素晴らしかった。ボカの2軍にいたという彼は、広い視野と巧みなボール捌き、体の使い方のうまさ、トップ下のプレーヤーとしてその才能を存分に見せたと思う。スタイルはリケルメに非常に似ている。前評判の高かったジエゴよりは格段に良かった。逆にポルトでは、ルイス・ファビアーノの出来が良かったとは思うが途中で交代させられてしまった。全体としては地味ではあった。両チームとも守りは堅く、かといってどこかの代表チームみたいにづるづる引きすぎる事も無く、守備面でも果敢に勝負していていたと思う。この辺りの守備の組織というかコントロールは見習うべきではなかろうか。
 得点は入らなかったが、個々のプレーヤーの質や局面の勝負は見所があった。大会の最後にふさわしいかどうかは別にして、やはりこういった試合を見られなくなるのは寂しい。今後は真のインターコンチネンタルとなるということだが、果たしてうまくいきますかどうか?