日本 1-0 ギリシャ (フランクフルト)
 ヨーロッパ予選で苦戦中のギリシャ。ユーロ2004でMVPのザゴラキスはボローニャの1部残留決定戦第2戦に出場するために出ていなかった。このことは、単に主力が居ないという以上の痛手になった。彼が居ない事で、日本は中盤のスペースを自由に使う事が出来た。コロンビアに思うような試合運びをさせてもらえなかった日本は、システムを4-4-2に変えて、前線の基点という点での改善を図った。そのことと、中盤でのボール支配率を高める事が、シュート数の多さに繋がり、勝利できた。
 初戦を終え、世界のマスコミの論調は日本の守備陣のもろさ、とりわけ背の低さに対する嘲笑、というものであった。主にフランスW杯前後で展開された、日本人の体格では世界で勝てない、という半ば人種差別的な悲観論による苦言である。サッカーはその国自体が象徴され体現される、ものとして語られることが多いが、そうであるならば、各国の良い面悪い面が内包され、独自のスタイルが形成されたうえで、勝敗という結果が導き出されるはずである。対メキシコ戦が、身体的特徴のみで語られること、またはそこに敗戦の主眼を置いてしまうことは、その国の成長に蓋をしてしまうことに他ならない。その国独自のスタイルの構築は一朝一夕ではないが、そうしたスタイルを構築できた時、ようやく世界の一員として他国に脅威を与える事ができるのである。その意味において、この日の試合は日本人の勤勉さ、俊敏性、最後まで走り続ける体力、といったものが大いに発揮されたのではないだろうか。
 個人を見ると、加地の成長が著しい。ドリブルが格段にうまくなったしクロスの精度も高い。市川の登場で10年は安泰とされた右SBは、今や完全に加地の独壇場だろう。事前練習でいつも高評価の大黒も、ストライカーとして着実に成長を続けている。ストライカーは点を取ってしか成長を認められないが、確実に点を取り続けている。玉田との競争に勝ってW杯に行けるだろうか。
 この日負けるとグループリーグ突破が絶望的だったが、なんとか望みを繋いだ。今のブラジルからは、フロックでも勝ちを望むのが難しそうだし、ギリシャのふがいなさを見ると、コロンビアが負けるとも思えない。しかし、この先2試合できるか出来ないかは大きい。なんとかブラジルに食い下がって、日本のスタイルを見せ付けてほしいものだ。