2005
Jun
09
北朝鮮 0-2 日本
 引分けでもWcup出場が決まる一戦に勝利した日本代表。何処よりも早く出場権を手に入れた。平壌で観客が暴徒化したことから、タイで無観客という条件で試合は行われた。無観客という環境もさることながら、グランドは見るからに悪かった。当初予定されていた北朝鮮戦は、人工芝であることが問題視されていた。幸いにもスコールに見舞われることも無かったのでよかったが、これで雨でも降れば、人工芝のほうが良かったといわざるをえないようなグランド状態だった。実力的には上回る日本だが、こうした環境、累積警告や怪我で主力といわれる選手が出場できないこと、Wcup出場というプレッシャー、に打ち勝つことができるかが試合の焦点であった。
 静かな立ち上がりだった。同点でよいという気持ちが強く感じられた。前半は特に見るべきものもなく、ただ淡々と過ぎていった。稲本に動きの切れは感じたが、三都主に代わって出場した左サイドの中田浩二に光るものも感じられなかった。前線の3人に何が何でもゴールを奪うという気迫も感じなかった。後半早々に登場した大黒が、チームに躍動感を与えた。積極的にスペースを突き、シュートを打った。シュートで終わる事ができると、リズムが出て、いい攻撃が出来るようになり、柳沢が先制点を奪った。その後カウンターから大黒がGKをかわし試合を決定付けた。
 試合自体は実力の差がはっきりと出て、順当といったところだった。8年前には日本中が大喜びしたが、今回はあっさりしていた。選手達も、むしろ、ほっとした表情であったことが印象的だった。実力が付いてきたこと、経験を積んできた事、以前より出場枠が多くなっている事、などから出場件を得ることは当たり前のように語られる。そうしたことは選手達(ジーコ含む)にものすごいプレッシャーになっていたはずである。そうしたプレッシャーに打ち勝った選手達に心より尊敬と感謝を。
 これで、良い形でコンフェデ、東アジア選手権、最後のイラン戦、を迎え格好のテストができるのだ。まだ1年ある。その間にチームはどれほどの成長ができるであろうか?新たな選手はでてくるだろうか?例えば韓国は、若い才能が台頭し、この予選で結果を出している。チームにとって世代の融合は、将来を見つめる上でも重要な命題だ。ジーコが容易に選手を入れ替えはしない。だからこそ、その殻を破るような選手が出てくる事をこの1年の楽しみにしたいと思う。

2005
Jun
04
バーレーン 0-1 日本 (マナマ)
 キリンカップで2連敗し、小野の骨折もあり嫌な雰囲気漂う中で、2次予選の3戦目を迎えた日本代表。直前に行われたイラン北朝鮮戦は、きっちりイランが勝った。日本はこの試合に負けると、かなり苦しくなるところだった。
 バーレーンはカウンターのチームだと既定し、その対策に注目が集まった。キリンカップでは、そのカウンターですっかりやられてしまい、ジーコも神経質になっているようだった。そうして出てきたフォーメーションが、3-4-2-1である。この変更は大変うまく機能した。ポイントは、サイドに基点を作らせない、という点であったように思う。カウンターを身上とするするチームは、ボールを奪うと、縦に早いボールが入る。そしてサイドが破られる、あるいはサイドが基点となる事がもっぱらだ。この日、日本はサイドに全く基点を作らせなかった。豊富な運動量により、忠実に二人で相手を追い込んだ。また、1対1でも容易に前を向かせない迫力ある勝負が繰り広げられた。中沢のヘディングを見るに付け、坪井の足の速さは認めるがまだまだ迫力が足りないと言わざるを得ない。
 攻撃面ではどうしても淡白というか、人数不足な感があった。前の3人プラス中田の4人で点を取るという形だから、仕方のないことではある。しかし、この日久しぶりに先発した柳沢を選んだジーコには拍手を送りたい。裏のスペースを積極的に狙い動き回り、前を向いてボールを貰おうとするFWを使う事で、バーレーンのDF陣は明らかに混乱していた。これまでの日本はサイド攻撃を重視してきた。そこでは、一度ボールの収まるポストプレーヤーの存在が不可欠だった。しかしその後それらは研究され、対策されていた。そうした中で、柳沢がかき回し、正確なパス回しで相手を崩していくスタイルは、新しい日本の攻撃パターンを見せ付けたといえる。欲をいえば、もう少し強引さが欲しい。遮二無二ゴールを狙うといったような逞しさみたいなものに欠けている気がした。
 ともあれ、勝ち点3を加えることが出来た。残り2試合で、勝ち点1を得ればWcupに出場することができる。次の試合には、中田、中村、三都主が出られない。今日のパフォーマンスを見ると、中田の欠場はちと痛い。しかし、誰が出ても勝てないとチームとはいえない。稲本にチャンスがくると思えば、楽しみでもある。奇しくも戦前、最低ラインとしていた勝ち点10まで、あと1つ。イラン戦に持ち越すことなく、コンフェデ前に出場を決められれば、その後の試合を有効に使える。是非、観客の居ないピッチで、選手たちだけで喜びを爆発させてほしい。

2004
Nov
17
Japan1-0シンガポール (埼玉)
 インドに快勝し2次予選進出を決めた後、ジーコは、カズやゴンなどのこれまでに貢献してきた選手達を代表に召集したいとしていた。しかしながら、各クラブの反対、これまでサブだった選手達からの反発、AFCからの干渉などがあり、その案は実現しなかった。はたしてどこまで本気の発言だったのだろう。前回のシンガポールとの対戦では、1次予選中唯一の失点を喫し、ぎりぎり2-1で勝ってはいる。これまでも、マスコミからの浅知恵な相手をなめた発言に対し、簡単な試合などひとつもないとたしなめてきた。しかしながら、このシンガポール戦に関しては、「失礼ながら、相手ではない」という旨の発言をしている。このようなリスペクトを欠いた態度は驚きではあった。あくまで擁護的な立場で言わせて貰えば、これらがサブの選手達のモチベーションを一気に押し上げる為の作戦だった?とは考えすぎだろうか。
 試合のほうは、前半の早い段階で玉田のミラクル(あたりそこね)シュートが決まり、そのまま試合終了の笛を聴いた。モチベーションが上がりまくりのサブの選手達がどこまで光るプレーをみせられるか、が焦点の中で、いくつかの発見があった。まず、試合を通じて松田が素晴らしかった。冷静な判断とたびたびの攻め上がりは大いなるオプションとなった。中田浩二の展開力にも目を見張るものがあった。スペインへ移籍の決まった大久保もまた、今回もオフサイドとされてしまい代表初ゴールはならなかったものの、堂々たるものだった。そして、三浦である。ジーコがヨーロッパでもあまりみられないと唸るフリーキックだけでなく、サイドのスペシャリストとしての能力の片鱗を見せたと思う。ややディフェンスに難があるようにも見受けられるが、三都主と遜色はないだろう。もう少し敵陣深くまで切り込めれば、間違いなく三浦を選びたい。試合結果としては1-0だったこともあり、満足できないと思う向きが多いのだろうが、シンガポールはそんなに弱いチームではない。得点されるまではうまく日本を捕まえきれない場面もあったが、そこからはあまり日本を自由にしなかった。そして幾度か鋭いカウンターも見せた。現時点で彼らは日本には勝てないだろう、しかし脅かす事はできるのである。なんとか勝利を得た今日の結果は、何事にかけても勝つことの重要性を知っているジーコの壮大な作戦だったのではなかろうか。
 今日のもうひとつの目玉は、はたして中国が2次予選進出がなるか?である。クウェートと同じ勝ち点で得失点差で2点負けている。大量得点差で勝たなければ、クウェートはマレーシア(同組最下位)をホームに迎えるだけに、進出は難しい。この日までに2次予選進出をきめられると思っていた中国は、このような状況にイタリアとの親善試合をキャンセルしている。もし中国が逆転ということになれば、国際的に試合の買収などと囁かれることだろう・・・なんと、中国7-0、クウェート6-1!!どうなるのだ???結局、勝ち点、得失点差では同点ながら、総得点で上回るクウェートが進出決定。

2004
Oct
14
オマーン 0-1 Japan (マスカット)
 勝つか引分けで2次予選進出が決まる日本と、日本を倒せば2次予選進出が見えてくるオマーン。このワールドカップ予選だけでなく、先日のアジアカップでも対戦があり、いずれも日本が勝っている。知将マチャラに率いられるオマーンは、若い選手が多く”若手の大会で”国際経験を積んできている。一方日本は、アジアカップでの激闘で逞しさとともに落ち着いた試合運びが出来るようになってきている。よく言われた、コミニケーション不足など今は見る影も無い。
 戦前マスコミが囃し立てた「日本危機」説は、やはりマスコミのものでしかなかった。前半こそホームの声援に押され、勢いに任せて攻め込んできたものの、日本守備陣はこれをうまくあしらう事ができた。いくつか危ないシーンは作られたが、決して充分な形でシュートを打たれる事はなかった。攻撃に関しても、ボールを収めようと鈴木はがんばっていたし、高原は何度も動きなおしてスペースを探していた。2、3列目からのFWを追い越す動きも見られ、なかなかいいムードだった。問題があったとすれば、DFラインが深い、ということにも原因はあるのだが、中盤のバランスだろうか。後半に入ると修正がされたが、小野が前に掛かりすぎることで、日本の左サイドがスカスカになっていた。小野、中村、福西で作る中盤があまりシンクロしていない様子ではあった。後半早々に日本が先制する。中村のセンタリングと鈴木のヘディングは迫力満点だったが、高原のニアへの勝負が得点に繋がったといっていい。久々に試合を通じて見せた高原の好調さを物語っていた場面だった。オマーンも必死に攻めては来るが、試合の終盤には足が止まる選手も多く、クロスも中沢のヘディングにことごとく跳ね返されていた。やはり、まだまだ最終局面での強さが足りない。激しいプレッシャーの中でのクロスやシュートの精度が強豪と言われるチームのレベルには達していないと言わざるを得ない。
 こうして日本はあと1試合を残して、2次予選への進出を決めた。既にサウジアラビア、ウズベキスタン、北朝鮮の進出も決定しており、やはりアジアの強豪たちが勝ち上がってくるだろう。チームは出来上がりつつあるようにも見えるし、アジアチャンピオンでもあるが、ワールドカップへの切符を持っているわけではない。2次予選でも勝てなければ全く意味が無い。今後どんなドラマが待っていて、どんな人材が頭角してくるか楽しみである。