日本 2-1 北朝鮮 (埼玉)
 肉を切らせて骨をたつと言うような表現の使われる2次予選。その初戦になんとか勝利を納めた。思えば8年前のあの日、カズと日本はいっぱい点を取って勝った。あれから世界が驚くような進歩を遂げ続けている日本サッカー界。それは選手個々人の能力の向上だけでなく、組織も設備も教育もサポーターも全てにおいて前進してきたはずである(相変わらずなのは、マスコミだけだ)。それは今日からの戦いが証明してくれることになる。この予選を通過してほしいと願ってやまない。
 この試合に先立ち、ジーコは小笠原を先発させると明言した。緊張すると言われる初戦には、慣れた3バックで望みたいとすると、現時点であのポジションにはミツオしかいないのである。中田は未だ調子が上がっていないし、中村も超ハードスケジュールだ。中村が先発でないことが驚きをもって迎えられたが、ジーコには彼しかいなかった。本人もやる気を見せただけでなく、カザフスタン、シリア戦で好調であることを見せつけた。この2試合に一番安堵したのはジーコであったと思う。そして後半からの中村投入、4バックという方程式が描けたのではないだろうか。
 それにしても、何故いつも最後の最後までハラハラさせてくれるのだろう。どんなに悪く見積もっても、日本のほうが地力は上であった。決定的なチャンスも日本のほうが多く作れている。しかし、簡単にはいかない。トータルで星勘定した場合、ここは決して同点では駄目だ、などというようなことでもない。今シーズンのインテルが引分けが異常に多いように、最後にならないと試合が決まらないというのは、何かチームが持つ因縁のようなものだろうか。もうひとつは、日替わりヒーローのようにFWが点をとることも特徴だ。言い換えれば、絶対的なFWがいないともいえる。両者とも、共に結果として残っている以上、これを問題視することも少し難しい。とすれば、ジーコの言う、「好調な選手を使う」は正解なのだろうか?それともだからこそ、このようなチームなのだろうか?
 北朝鮮が意外にパスを繋ぐ丁寧なサッカーだったことには驚いた。そして、監督の早めの決断により試合を能動的にコントロールしようという姿勢も楽しかった。事実、3トップのような形をとることで、日本の3バックは混乱し、失点までした。もう少し早めに4バックにしてもよかったかもしれない。そして、4バックであると、俊輔が生き、強烈なアクセントになった。北朝鮮の足が止まったこともあり、いつ点が入ってもおかしくないという情況を作り、ロスタイムに大黒が決めて、念願の勝ち点3を手に入れた。次節はアウェーでイラン。誰がヒーローになるだろうか?