LEGENDS OF THE FALL レジェンド・オブ・フォール アルティメット・コレクション

ストーリー

ラドロー一家の波瀾に富んだ歴史。人間にとって正しいルールとは?

レビュー

ここで語られるのは、政治が勝手に戦争を始め、権力と腐敗を生み出し、不完全なルールによって弱者の救済が成されない、そういったことへの怒りだ。そもそも為政者のエゴに辟易して世間に背を向けた父親にとって、神や人間のルールを守る長男よりも、己のルールを果たそうとする次男に愛情が向くのは至極当然のことだ。次男はルールを守らないのではなく、ルールそのものの質が違うのだ。為政者には都合の悪いこうしたルールこそが真に支持されるべきではないかと主張しているように思える。
そしてもう一点は、キリスト教という価値観への疑念だろうか。ネイティブ・アメリカンを語り部にする事でその精神世界を連想させ、神に対する代替を示した。また、彼らへの迫害を示唆し、キリスト教を絶対視することへの疑問を提示しているように思われる。
恋愛映画としての視点でいえば、スザンナの、「イザベルの死を望んだ、おそらくサミュエルの死さえも・・・」という告白は強烈だ。ほとんどこの台詞を言わせるためにここまで彼女を引っぱったのだろう。この心情に気付いてしまったが為に自らを許せなくなって(自殺して)しまう事は、取りも直さず、彼女こそがトリスタンに最も近く最も彼を理解できた人間だった証だといえるだろう。

ヘンリー・トーマス(サミュエル)って、ジェレミー・デイヴィス(プライベート・ライアンのアプス)に似てるね。