2008
Nov
06
LEGENDS OF THE FALL レジェンド・オブ・フォール アルティメット・コレクション

ストーリー

ラドロー一家の波瀾に富んだ歴史。人間にとって正しいルールとは?

レビュー

ここで語られるのは、政治が勝手に戦争を始め、権力と腐敗を生み出し、不完全なルールによって弱者の救済が成されない、そういったことへの怒りだ。そもそも為政者のエゴに辟易して世間に背を向けた父親にとって、神や人間のルールを守る長男よりも、己のルールを果たそうとする次男に愛情が向くのは至極当然のことだ。次男はルールを守らないのではなく、ルールそのものの質が違うのだ。為政者には都合の悪いこうしたルールこそが真に支持されるべきではないかと主張しているように思える。
そしてもう一点は、キリスト教という価値観への疑念だろうか。ネイティブ・アメリカンを語り部にする事でその精神世界を連想させ、神に対する代替を示した。また、彼らへの迫害を示唆し、キリスト教を絶対視することへの疑問を提示しているように思われる。
恋愛映画としての視点でいえば、スザンナの、「イザベルの死を望んだ、おそらくサミュエルの死さえも・・・」という告白は強烈だ。ほとんどこの台詞を言わせるためにここまで彼女を引っぱったのだろう。この心情に気付いてしまったが為に自らを許せなくなって(自殺して)しまう事は、取りも直さず、彼女こそがトリスタンに最も近く最も彼を理解できた人間だった証だといえるだろう。

ヘンリー・トーマス(サミュエル)って、ジェレミー・デイヴィス(プライベート・ライアンのアプス)に似てるね。


2008
Jun
27
BOBBY ボビー BOBBY 

ストーリー

兄であるジョンに続き、1968年6月5日、ロバート・F・ケネディもまた凶弾に倒れる。その時、アンバサダーホテルに偶然居合わせた22人を通して当時の社会の空気を描きだす。

レビュー

現実の映像が持つ迫力は計り知れない。ジョンがパレード中にライフルで撃たれ、その肉片をジャクリーンさんが拾い集める様は、”衝撃”という言葉で充分に説明される。そうした意味で、作られた映画というコンテンツは、その迫力という面において、とうてい及ぶ物でないと感じてしまう。所々に挿入されている実際のロバートの演説や当時の映像は非常に力強い。また、ロバートの演説が現代にも充分通用するメッセージである事は驚きでもある。だからといってこの映画が駄作だとかそういうことでもない。時代の雰囲気を上手く醸し出していたと思う。そして当時の社会が抱えていた問題点は、形こそ多少違うが、現代のアメリカが抱える問題点そのものなのだよ、という風に描かきたかったのだと思う。
興味深かったのは、ホテルの支配人が奥さんに「格好や立ち居振る舞いは最先端だけど、頭の中は20年代なのね」みたいなことを言われる所。加齢臭がするっていわれるよりも断然こたえるな。ん?いやそのほうが嫌か?

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ma 's reviwe:

社会的に抑圧された歴史を持つ黒人が、マイノリティーとして新たに差別の対象になっているメキシカンに対し「声高に怒っているだけでは駄目だ。白人を気持ちよくさせてあげればいい。」って諭すところに虐げられた歴史を持つ黒人のしたたかさと懐の深さを感じる。
デミ・ムーアの劣化ぶりもなかなか良いかも。