Japan 1-0 SCG (横浜国際)
 ジーコ体制になって、初めてタイトルを獲得することができた。一番嬉しいのはだれあろうジーコだろう。自身のキャリアを見ても勝つこと、優勝する事の重要性を身にしみて分かっている人間である。一流と言われる人に共通するメンタリティとして、練習中のミニゲームでも負けることを極端に嫌う、というのがあるが、ジーコはまさにその典型である。代表選手たちが学ばなければならないのは、そんなメンタリティなのではないだろうか。彼らの技術はかなり高い水準にある。なにせあのセルビア・モンテネグロと比しても決して遜色がないのだ。試合中の戦術眼も高く、今置かれている状況を把握し対応する術を持ち合わせている事は、選手たちの戦後インタビューからも分かる。そうした戦術・技術は協会の賜物と言っていいだろう。しかしながら、その個性を組み合わせ、勝利への道筋を付けるのは監督である。タイトルを取って、歓喜を爆発させるのは選手自身でなくてはならない。
 3バックなのか4バックなのかはせておき、坪井が戦列をはなれてしまったこと、そのことで入った田中の出来と連携、そしてなにより宮本の調子がとても不安であったが、高い集中力で守りきり零封できた。オールスターでの宮本は目を覆いたくなるようなものだっただけに一安心である。課題としてはDFラインが下がりすぎたたことか。セルビア・モンテネグロがドリブルを多用したこともあるが、中盤がポッカリ空いてしまうことが多く、バイタルエリアの少し前を自由に使われてしまった。
 攻撃陣は鈴木・玉田が好調で、ポストプレーが光り輝いていた。ここでボールが収まったことで日本に落ち着きがもたらされた。彼らが居たからこそ中村が生きたといえる。相変わらずのパスセンスと視野の広さは特筆だが、これまた守備では実効性が伴わない。しかし、左右に良く動き、基点作りとスペース作りに奔走していて安心して見ていられた。得点をとったのは守備的MFの遠藤だった。爆発的な3列目からの飛び出しは思わず身を乗り出すものだった。正確なキックが身上の遠藤にとって、この日はきちんとボールを捉えていないことが多かっただけに、GKをかわした判断には拍手を送りたい。福西にも何度かビッグチャンスがあった。スロバキア戦でもそうだが、何故シュートを打たないのだろう。FWに得点させたいのだろうか。いずれにせよ守備的MFの攻撃参加が現代サッカーには不可欠であり、この日も試合を決めた。
 中田、小野、高原、久保、坪井とジーコ体制の中核を担って来たタレント不在で望むアジアカップ。この日の出来ならいいところまでいけるとの期待が上がるだろうが、日本はアジアに対して強くない。泥臭いサッカーに何処まで食いついていけるか、選手たちがどこまで勝利を渇望できるかにかかっている。