Japan 3-1 中国 (北京)
 前回のレバノンに続き、日本がアジアチャンピオンの座に着いた。アウェーでの勝利、そんなフレーズがぴったりくる大会であった。ホストカントリーとの対戦ではなくとも常にブーイングを浴び、蒸し暑い重慶、荒れたピッチの済南、移動、試合間隔の少なさ、判定の不自然さなどなど、そんな困難な状況をことごとく跳ね返した。ジーコにとっては辛い出発であったに違いない。8人をセレクション出来なかった、と語るように、メンバーは充分でなかったはずだ。しかし、大会前から決してそのような不満は表すことがなかった。さらに彼は常にメンバー一人一人に声を掛けたという。勝ち進むにつれ選手たちから、「チームがまとまっている」「一丸となってきてた」との声が聞こえるようになる。これは、チームマネージメントが成功したことを意味する。このことは優勝した一因として評価されるべきではないだろうか。
 中国というチームのこれまでの戦いぶりをみていて、まだ日本には追いついていない印象をもっていた。確かにフィジカルは強く、ボール扱いもうまい、戦術的にも洗練されてきてはいる。しかし、クリエイティビティーという側面から見ると、いささか物足りない。オマーンの躍進を脅威と見る声がある一方で、彼らにはゴール前での正確性と共にそこにいたる創造性が、決定的に不足している。同じ事がこの中国にもいえる。サイドからの崩しと強烈なロングシュート、という形あるもののこれらは相手のプレシャーが弱い時にしか発揮されていないものだった。MVPは中沢だと思っていたので驚いたが、日本には中村がいる。そして彼はジーコから自由をあたえられているのである。中盤の想像力という点でいば、イランや韓国に一日の長があるだろう。
 試合のほうは、高い守備ラインの裏を狙う日本と、3バックのサイドを突く中国の攻防という展開だった。今大会安定している日本の守備陣は中国のサイド攻撃をうまく封じ込めた。そしてこれまた脅威というレベルにまで引上げたセットプレーから得点をし、ホストカントリーを打ち破った。2点目は神の手にも見えるが、3点目の玉田の抜け出しはまさに”はまった”ものであった。全体的には力の差は歴然であったのだ。
 これで日本はドイツWcup前のコンフェデレーションズカップに参戦する事ができる。予選を勝ち抜くことは困難だが、もし突破できれば、コンフェデは格好のトレーニングになる。このメンバーから何人がWcupに行けるかわからないが、今回の優勝はまさに未来に繋がるものであったといえるだろう。万難を排し最高の結果を残した監督と選手に敬意と感謝を。そして本当におつかれさま。