England 1-1 Japan (マンチェスター)
イギリス各紙はOH-NOだそうです。
 前半、得点されるまで、まったくサッカーをさせてもらえなかった日本。チェコ戦後ネドベドが、後半の日本は何もやってないじゃないかと嘯いていたのを思い出す。早く正確なパス、そしてムーブ、前を向いてボールを持つこと、サイドチェンジ・・・どうしても後手に回る。そして得点後はペースダウン。ここまでは今までの日本代表そのもの。チーム力の差がゲーム展開によく現れる顕著な例と言えるだろう。しかし、ここからが歴代の代表と違った。きちんとボールをつなぎ、しかもフィニッシュまで(ロングではあったものの)行けていたのだ。確かに、イングランドは合宿で追い込んできているので、疲れという点でピークに近い。そんなことを差し引いても、日本がボールポゼッションで上回り、サイドを崩し、シュートに結びつける、つまりゲームを支配していることは、驚きであり今後に期待を抱かせる。
 昨年のコンフェデ(フォエ選手が試合中に亡くなった大会)以来、はじめて好調な動きを披露した中村は、守備ではまったく機能しないものの攻撃の核になって、この試合を作ったといえる。そしてシーズン終盤以降好調な小野が同点ゴールを奪った。その小野のゴールは冷静なサイドキックであった。ジーコは言う。シュートとはゴールへのパスである、と。コロンビアの英雄バルデラマのパスの八割がサイドキックであること、正確無比なセンタリングで有名なベッカムのクロスの基盤がサイドキックであることをみても、この基礎技術がいかに大切なものであるかがわかる。その基礎技術で、正確にゴールネットを揺らして見せ、イギリス人を嘆かせた。
 試合の最終晩、後半44分に悲劇が待っていた。稲本が骨折してしまったのである。左足腓骨骨折で全治3ヶ月とのこと。怪我が選手生命に与える影響は計り知れない。レフティーモンスターと言われた小倉をみるまでもなく、幾多の才能を奪っている。この試合だけでなく稲本という才能は、既にワールドなマーケットに出品された貴重なものである。焦ることなく、ゆっくりとそして確実に直してほしい。アジアカップに彼が居なくても勝てるチームでなければ、ワールドカップなど夢でしかないのだから・・・