2005
Jun
16
ドイツ4-3オーストラリア (フランクフルト)
 コンフェデがドイツで始まった。果たしてこの大会に参加した国のうち何ヶ国が本大会にでてくるだろうか?日本、アルゼンチンは既に出場を決めているが、ギリシャ、チュニジアはかなり苦戦している。そういった意味で日本にとっては素晴らしいタイミングでの開催といえる。
 開催国ドイツにとっても、予選がないだけに、格好のテストと位置づけることができる。なり手の無かった代表監督の座に着いたクリンスマンは、まさに我が道を着実に歩んでいる。GK問題しかり、若手の積極的な登用しかり。なんと、経験が必要とされるDFに二十歳の選手が二人もいるのだ。'98当時、日本には絶頂期を下りかけの井原と、広いカバーリング能力を持つ田中マコという二人がいた。しかしながら、試合に出続けたのは、経験値の高い選手のほうだった。あの当時から試合に出ていたら、田中という選手はいったいどれほどの成長を見せただろう。若手の登用は、言うほど易くはない。事実この試合でも、DFラインの脆弱さが露呈した。現日本代表でも、坪井のパフォーマンスに不安を覚えている向きは多いだろう。失点すれば、守備陣に批判と不安が渦巻くのはいたしかたのないことだ。だからこそ、経験する機会を少しでも与えることは、結局はその国の強化に繋がるといえる。その意味では、追加召集された茂庭に是非チャンスをあたえてほしいものだ。
 試合のほうは、派手な撃ち合いとなった。オーストラリアが予想以上に良いサッカーをしたことは驚きだった。まもなくAFCに編入してくると、日本がアジア予選を戦う上で、非常に強力なライバルとなりえるだろう。なぜ日本は反対しなかったのだろう?それくらい良いチームだ。例えれば、ジェフだろうか。豊富な運動量に支えられ、難しい事をせず、着実にボールを運んで行く。個々人の能力もけして低くない。いつもプレーオフで負けてW杯に出てこれないのは、その対戦相手に恵まれなかったからか。対するドイツは、中盤を自由にさせすぎた嫌いはあるものの、決定力といった点ではやはり迫力があった。クリンスマンはクールビズだったとかは別にして、攻撃陣にはクリエイティブで自由な発想みたいなものがあったように思う。しかしながら、守備陣はいただけない。失点のタイミングも悪いし、お得意の組織といったものがまるで感じられなかった。ともかく、勝ててよかった。そんな感じだった。
 ジーコはベスト4を狙うという。中村は結果でなくいい形を作りたいという。引いた相手をこじ開けるのでなく、いかに攻撃をおさえるか、の戦いになるだろうといわれる。課題が多くでるだろうとも言われる中で、どんな試合を見せてくれるのだろうか。少しでも長くドイツにいられるように戦ってほしい。

2005
Jun
09
北朝鮮 0-2 日本
 引分けでもWcup出場が決まる一戦に勝利した日本代表。何処よりも早く出場権を手に入れた。平壌で観客が暴徒化したことから、タイで無観客という条件で試合は行われた。無観客という環境もさることながら、グランドは見るからに悪かった。当初予定されていた北朝鮮戦は、人工芝であることが問題視されていた。幸いにもスコールに見舞われることも無かったのでよかったが、これで雨でも降れば、人工芝のほうが良かったといわざるをえないようなグランド状態だった。実力的には上回る日本だが、こうした環境、累積警告や怪我で主力といわれる選手が出場できないこと、Wcup出場というプレッシャー、に打ち勝つことができるかが試合の焦点であった。
 静かな立ち上がりだった。同点でよいという気持ちが強く感じられた。前半は特に見るべきものもなく、ただ淡々と過ぎていった。稲本に動きの切れは感じたが、三都主に代わって出場した左サイドの中田浩二に光るものも感じられなかった。前線の3人に何が何でもゴールを奪うという気迫も感じなかった。後半早々に登場した大黒が、チームに躍動感を与えた。積極的にスペースを突き、シュートを打った。シュートで終わる事ができると、リズムが出て、いい攻撃が出来るようになり、柳沢が先制点を奪った。その後カウンターから大黒がGKをかわし試合を決定付けた。
 試合自体は実力の差がはっきりと出て、順当といったところだった。8年前には日本中が大喜びしたが、今回はあっさりしていた。選手達も、むしろ、ほっとした表情であったことが印象的だった。実力が付いてきたこと、経験を積んできた事、以前より出場枠が多くなっている事、などから出場件を得ることは当たり前のように語られる。そうしたことは選手達(ジーコ含む)にものすごいプレッシャーになっていたはずである。そうしたプレッシャーに打ち勝った選手達に心より尊敬と感謝を。
 これで、良い形でコンフェデ、東アジア選手権、最後のイラン戦、を迎え格好のテストができるのだ。まだ1年ある。その間にチームはどれほどの成長ができるであろうか?新たな選手はでてくるだろうか?例えば韓国は、若い才能が台頭し、この予選で結果を出している。チームにとって世代の融合は、将来を見つめる上でも重要な命題だ。ジーコが容易に選手を入れ替えはしない。だからこそ、その殻を破るような選手が出てくる事をこの1年の楽しみにしたいと思う。

2005
Jun
04
バーレーン 0-1 日本 (マナマ)
 キリンカップで2連敗し、小野の骨折もあり嫌な雰囲気漂う中で、2次予選の3戦目を迎えた日本代表。直前に行われたイラン北朝鮮戦は、きっちりイランが勝った。日本はこの試合に負けると、かなり苦しくなるところだった。
 バーレーンはカウンターのチームだと既定し、その対策に注目が集まった。キリンカップでは、そのカウンターですっかりやられてしまい、ジーコも神経質になっているようだった。そうして出てきたフォーメーションが、3-4-2-1である。この変更は大変うまく機能した。ポイントは、サイドに基点を作らせない、という点であったように思う。カウンターを身上とするするチームは、ボールを奪うと、縦に早いボールが入る。そしてサイドが破られる、あるいはサイドが基点となる事がもっぱらだ。この日、日本はサイドに全く基点を作らせなかった。豊富な運動量により、忠実に二人で相手を追い込んだ。また、1対1でも容易に前を向かせない迫力ある勝負が繰り広げられた。中沢のヘディングを見るに付け、坪井の足の速さは認めるがまだまだ迫力が足りないと言わざるを得ない。
 攻撃面ではどうしても淡白というか、人数不足な感があった。前の3人プラス中田の4人で点を取るという形だから、仕方のないことではある。しかし、この日久しぶりに先発した柳沢を選んだジーコには拍手を送りたい。裏のスペースを積極的に狙い動き回り、前を向いてボールを貰おうとするFWを使う事で、バーレーンのDF陣は明らかに混乱していた。これまでの日本はサイド攻撃を重視してきた。そこでは、一度ボールの収まるポストプレーヤーの存在が不可欠だった。しかしその後それらは研究され、対策されていた。そうした中で、柳沢がかき回し、正確なパス回しで相手を崩していくスタイルは、新しい日本の攻撃パターンを見せ付けたといえる。欲をいえば、もう少し強引さが欲しい。遮二無二ゴールを狙うといったような逞しさみたいなものに欠けている気がした。
 ともあれ、勝ち点3を加えることが出来た。残り2試合で、勝ち点1を得ればWcupに出場することができる。次の試合には、中田、中村、三都主が出られない。今日のパフォーマンスを見ると、中田の欠場はちと痛い。しかし、誰が出ても勝てないとチームとはいえない。稲本にチャンスがくると思えば、楽しみでもある。奇しくも戦前、最低ラインとしていた勝ち点10まで、あと1つ。イラン戦に持ち越すことなく、コンフェデ前に出場を決められれば、その後の試合を有効に使える。是非、観客の居ないピッチで、選手たちだけで喜びを爆発させてほしい。

2005
Mar
31
Posted by: iichii
日本 1-0 バーレーン (埼玉)
ボールを支配すること。サイドをつかうこと。セットプレーで得点すること。FWが点をとること。そうやってジーコの日本代表は勝ってきた。中田が居なくても、小野や稲本が居ない時でも勝ってきた。イラン戦の敗戦は少なからぬショックであったはずだ。ボールも支配できず、サイドも機能せず、セットプレーでもFWも点を取れなかったのだ。負ける事はある、しかし、システム云々ではなく、何も出来なかった、というショックが残るのでは?と思われた。この日のバーレーン戦で勝利を得られなくとも、まだまだ戦いは続く。もちろん勝つに越した事は無いが、それよりも大切な事は自信を取り戻す事なのではないだろうか。何がなんでも、形はどうあれ、点を奪うことこそが、この日のテーマだったのではないだろうか。その意味で、高校生との練習試合で中田がボランチで機能したなどという記事は、いかにもズレている。
対するバーレーンは、北朝鮮に勝ち移動も少ないものの、台所事情が少々厳しい。アジアカップで得点王になった点取りや(アル・フバイル)が怪我、監督の交代、日本のホームと条件は悪い。そもそもがカウンターで縦に早い攻撃が身上のチームだが、あまりにも中盤が作れなかった。セカンドボールはことごとく日本に拾われ、また日本の攻守の切替の早さに悩まされた。しかしながら、プランとしての引分け狙いがうまくいくかにも見えた。最後の最後で粘り強く守ってきたが、とうとう日本の圧力に耐えかねて失点してしまった。無常にも自陣ゴールへボールが転がってしまったのだ。しばしばオウンゴールは不運であるかのように言われるが、そうではなく、入るべくして入った得点であることのほうが多い。日本にとって決してラッキーだったわけではない。
日本はボールをよく追い、FWに玉がおさまり、サイドを有効に使い、バランスを崩すことなく戦えた。味方同士の距離感が非常に良く、チームが活性化されダイナミズムが生まれたといった状態だった。そしてそうなればなるほど、いつものように玉をこねくり回して乗り遅れてしまう選手がでてくる(ある意味でバロメータなのかもしれない)。得点は出来なかったが、高原は効果的な守備と、イラン戦とは違い足にボールがついていた。あとはゴールに入れるだけだ。FWが点を取ってこそチームの形が出来上がる。3戦を終えて勝ち点6。少し物足りない。次節のアウェーでは是非ともFWに得点してもらいたい。

2005
Mar
26
Posted by: iichii
イラン 2-1 日本 (テヘラン)
 日本のライバルというとまず韓国が浮かぶ。しかし現在、FIFAランキングでも18位と19位、対戦成績でも互角と、イランこそがアジアにおける本当のライバルと言えるかもしれない。会場のアザディ・スタジアムには人がまさに溢れ返っていた。以前磐田がアジアチャンピオンズカップで戦った時にもその迫力が伝えられたが、なかなか壮観ではあった。現地人女性は入場できないと言うが、そもそも10万人は入る所に、自由席として詰め込まれた男たちの群れ群れ群れである。
 戦前の注目点としては、はたして11ヶ月ぶりの代表復帰の中田が、個人のパフォーマンスとしてもシステム的にも、どこまでフィットするか、がポイントの一つだった。カバーリングに関し福西と意見交換があっただけで、すわ内乱かと騒ぎ立てたマスコミにもうんざりだが、個々人の技術レベルが向上し、さらに戦術的にもかなり固まってきている中に、中田と言う才能は輝ける場所を得られるのか、は興味深い点だ。もう一点は、両サイド、特に左サイドの三浦だ。能力的には申し分ないが、代表ではサントスという壁に阻まれ、代表に出ているうちに前クラブでは相馬という若き才能に弾きだされてしまうというジレンマは、ここでその鬱憤をはらせるだろうか?中沢や福西などのように結果をコツコツと積み重ねていれば、スタメンにも必ず上がれるはずである。
 試合内容としては非常に白熱した、見ていて楽しいものだった。両チームとも、お互いに攻め合い、お互いにいい面も悪い面も出ていたと思う。サッカー大国であるブラジルはドリブルを楽しむ。それはあたかも喜びや楽しさに満ち溢れているように写る。footballという競技の原点でもあるのだ。中東勢は比較的ドリブル好きだが、ザンディ、カリミ、マハダビキア、カエビらはドリブルがうまい。試合展開によっては足枷となるが、この日は有効に作用していたと思う。対する日本は、前半は粘っこく丁寧に対応していたが、後半に入ると前がかったことでその対応が少しルーズになってしまった感がある。日本の攻撃は、中田や中村を基点にサイドを使う、といった意図は見て取れた。しかし対するイラン守備陣も高さと早い寄せで忠実に対応し、日本を自由にはさせなかった。特にサイドからのクロスはほとんど一本もあげさせなかった。中田はディフェンスこそトップフォームと言えないものの、攻撃時には何度か危険なパスを展開した。イランの守りがよく、スペースを与えてもらえなかったので、活躍とまではいえないが次第点だろう。三浦は三都主にとって代わる所まで評価されないかもしれないが、バックアップとしては充分な働きだった。心配は右サイドのバックアップだろう。試合のアヤとしては、同点後の試合運びだった。イランはカウンターに徹したのに対し日本は攻めた。しかしこれはどちらが正しかったということではない。結果論として、イランが勝ったというだけのことだ。
 ジーコはこの試合をひとつの山だとしていた。高い決意で望んだにもかかわらず、勝ち点を奪えなかった。この日の敗戦は、戦術うんぬんでなく、単に勝ち点を失った以上の意味を持たないともいえない。予選突破の目標を達成するために、今後ジーコが、どうやってこの超えられなかった山を克服するのか、が問題であり、興味のあるところである。