ギリシャ 1-0 チェコ
 ここまで負けなしのチェコは、当然のように決勝進出が頭にあった。バロンドールを取ったネドベド、おそらく得点王になるバロシュ、若き才能ロシツキ、タレントは豊富にいる。対するギリシャは、まさに台風の目玉、どこまで登りつめるのか。
 開始早々に主導権を握ったのはチェコだった。長身コラーにボールを当て、こぼれ玉を2列目3列目が狙う形が出来ていた。立て続けにシュートを放ちギリシャゴールに迫っていた。しかし、ネドベドがゴール前で負傷、結局前半の半ば辺りで交代してしまった。試合前、所属するユベントスで、03CLの決勝に累積警告で出られなかったことから、この準決勝で2枚目のイエローを受けてしまわないかと心配されたが、まさかの負傷退場である。ネドベドの離脱でチェコのパフォーマンスがどうなるかと思ったが、ブルックナー監督はよく組織されたチームを作っており、一人が欠けただけでチーム力が減衰してしまうことはなかった。汗かき役のガラセクは相手攻撃の芽をよく摘んでいたし、バロシュとユース時代から共に戦っているロシツキもその才能をまざまざと見せ付けた。しかしながら、決定的なシュートを決められず、延長シルバーゴールにまでもつれ込むことになった。
 いつものように(もう何度ギリシャの試合を見たことだろう)、しっかり守って素早く攻めるギリシャは、堅い守りがこの日も健在だった。立ち上がりこそ不安定だったものの、長身コラーに対したカプシスは決して競り負けていなかったし、セイタリディスはバロシュを自由にさせず、フィサスはこの日が代表99試合目のボボルスキに全く仕事をさせなかった。中盤ではこれまたいつものように、ザゴラキスが相手攻撃の芽を摘むと同時に攻撃の基点となっていた。コンダクターという言葉がふさわしい活躍である。そして決勝戦には累積警告で出られないがカラゴウニスが左サイドからクロスを供給という、堅実でさらに各個人が高いテクニックを伴って試合を進めていた。チェコの拙攻はあったものの、よく集中し、そして最後には、延長前半のロスタイムにCKから得点し、勝利を納めてしまった。
 とうとう決勝戦まで勝ちあがっていったギリシャは、自国開催のポルトガルと戦うことになる。中途半端なギリシャ人よりギリシャチームをよく見てきたが、まさか決勝もギリシャを見ることになろうとは思いもしなかった。開幕戦はギリシャが勝っているが、果たして?