13
ストーリー
性犯罪者を監視する一人の監察官。新人女性の指導という名の退職勧告。最後に取り組む”旅”。
レビュー
いわゆるミーガン法に言及した作品。ミーガン法が妥当かどうかは分らないけれど、ひとつの答えなのかもしれない。ちょっと(かなり)人権面で問題ありそうだけれど、正解をめざしてやってみるっていうのは良いのではないでしょか。なにも性犯罪だけでなく、犯罪者の人権を過剰に保護することは社会的にプラスなのかという疑問はある。犯罪暦をインターネットに晒さなくても警察内でデータベース化だけでいいとおもうけどね。ただ、リチャード・ギアの役作りのための犯罪者へのインタビューで、「社会に出してはいけない人間がいると思ってしまった。」という発言は簡単に無視できないのかもしれない。
ミイラ取りがミイラになる可能性は、いかに当人がそれにのめり込み、誠実に対処してきたかの証でもあるといえないだろうか。そうであればこそ、そうした非社会的な犯罪者を理解できるのだし、それがこの仕事に求められる資質のひとつなのだ。一方で、警察官やこういう監察官が、自らが法であるかのように錯倒して行くのも分らないではない。そうしないと自らの社会性を認識肯定できなくなってしまうのだろう。そして、こうした暴力の行使によってしか社会は守られないのかもしれない。
ちょっとくたびれた初老の雰囲気をうまく醸し出したリチャード・ギアはちょっとビートたけしに似てたね。笑顔が素敵なクレアよりも、もっともっとケイディー・ストリックランドが素敵だったよ。口元がジェイク・ジレンハールに似てるね。
マドンナが映画でちっとも当たらないのは有名だけど、ミュージシャンは何かと映画に出たがるもので、、、アヴリルですか。なんとあのノラ・ジョーンズも映画に出てるみたい『マイ・ブルーベリー・ナイツ』だな。少し前に見た『ワイズ・ガールズ』(マライヤ出演)はなかなかよく出来てた(マライヤの演技には疑問符つき)よ。どっちにしても本格的に演技を学んだ人達に失礼とか思わないかね?
07
ストーリー
ブロンド・ジョークを逆手に取ったブロンドちゃんのサクセスストーリー。日本人にはあまり理解できないと思う。
レビュー
コメディーは難しい。ホントにそう思う。テンポが必要だし、笑わせようとしては駄目だし、気が利いてないといけないし...低予算とかは別にしてこの映画、出来としてはお粗末な物。でも評判がいい(日本人の若い女性に受けている、のは問題外)。ミュージカル化もされてこちらもトニー賞にノミネートされるなど好調。ミュージカルは見てないのであれだけど、これは原作がいいのだろうと。おそらくブロンドへの偏見に対する皮肉ってだけでなくて、全編を通してアメリカ社会に対する風刺とかが効いてるんだろうと。例えば、キャメロン・ディアスって人はいろんな授賞式とかに自分の手作り服とかのコーディネートでやって来る。そういうのって普通はみんなプレタポルテとかのブランド着飾ってくるジャン?でも彼女はそうする。んでも、その服がいつもいまいちなんだってさ。っていう前提があって、 「キャメロン・ディアスにセーターを選ぶアドバイスを・・・」 っていう台詞が出てくる。こういう例がいっぱいあると思われる。つまりこれはアメリカの社会とか風俗を知ってないと日本人には理解できないってことだ。一方で単純にファッション好きの女性のサクセスストーリーとして楽しめるのなら(それはそれでいいけど)、それだけ、女性が活躍するって事に対して免疫がない、ってゆうことだろうか?つまり、ファッションと苦労にもめげずがんばり仕事と恋を手にするってストーリーならなんでもいいのか?
髪型とかメイクとか衣装とかゴージャスでいろんなブランドが協賛してる。でもね、落ち込んで友達に電話する場面があるんだけど、そこでバスローブとパジャマみたいなのを着てるんだけど、あんな田舎のおばあちゃんみたいなのでいいのか?
「I need to marry a Jackie, not a Marilyn.」ってマリリンはモンロー。ジャッキーはジャクリーンさん(J.F.Kの奥さん)でいいのかな?
30
ストーリー
潜入捜査官の苦悩。後見人になってくれた恩人への想いと捜査官としての役目、家族への想い。引き裂かれそうな心の内を繊細に描く。
レビュー
アル・パチーノの演技もジョニー・デップの若々しい演技もとてもよかったと思う。特にアル・パチーノのしがない老いぼれヤクザの風情があったからこそこの映画が成り立っているのだと思う。しかし、テーマはどうかと。。。潜入捜査官の心が揺れても、ねぇ。プロなんだよね、そうだよね、じゃ、上手に嘘ついて、きっちりお縄に付けるのがお役目ってもんでしょ。それが情に絆されてもなんとも言いようがない。そんな風に迷うのは、潜入捜査の妥当性を議論する時にやればいい議論だよね。まぁでも最後の呼び出しに粛々と身支度をするアル・パチーノと「お前だから許せる」という台詞には充分に重みを感じる。よ。
アン・ヘッシュはゲイであると公表して一時エレン・デジェネレスと交際するもすぐに男性と結婚、出産、2007に離婚。ほんとにゲイか?父親はゲイでエイズで亡くなっている。
エレン・デジェネレス(ファインディング・ニモ のドリー)はアメリカでは超有名人で本物のゲイ(2008年ポーシャ・デ・ロッシと同性婚inカルフォルニア)。
25
ストーリー
政治家時代からライフワークとして地球温暖化問題に取り組んできたアル・ゴア。講演の模様を主にしたドキュメント。
レビュー
地球の危機として講演している内容は、ともすれば、現実に取材し科学的な根拠を基にしてはいても、因果関係を証明できないものとされてしまう(イギリスの高等裁判所が「9カ所の部分で科学的根拠が乏しい」と注意を促す判決を出している)。しかしながら、これらがあくまで啓蒙とするならば、多少の論理の飛躍や誇張があってもさして問題ではないと思う。その意味で言葉を武器に生きて来た政治家の本領を遺憾なく発揮し、プレゼンの方法としても秀逸なものを提供している事を考えれば、大成功のPRだろう。やっていることはマイケル・ムーアと同じだ。問題を単純化し、善と悪みたいな物に集約していく所など全く同じ手法だ。そう考えると啓蒙活動とはしょせんこういう物だし、それから先は受け取った個人が考え、調べ、行動することなんだろね。
こうした環境問題はもう現在では確実に”政治”の問題だが、例えば民間レベル特に主婦の方々なんかけなげだと思うよ。明らかに車の排気ガスと産業活動で排出されるCO2に手を付けなければならない問題であるにもかかわらず、「何かできないだろうか」ってせっせと分別収集に協力し、なんだか良く分からないけれどもレジ袋の有料化にも協力してるんだよ。涙出そうだよ。こういうのは国民性だろうか?世界の政治家とか知ってんのかね?ま。不都合だからな。
ちょっと穿った見方をすると、なんとなく民主党の選挙対策の一環的な匂いがしなくもないかな。それとノーベル賞は選定した人達のファインプレーだね。ゴアにノーベル賞を与える事でアメリカ国内が啓蒙され、結果としてアメリカがCO2削減に向かうなら御の字だもんね。
16
ストーリー
アナーキーな暴力にすがる若者、治療という名の暴力を正当化する政府、復讐心を隠しきれない被害者、本能である暴力で繋がる輪廻。
レビュー
キューブリックの映画を見るのは3作目。[アイズ ワイド シャット」は全然理解できなくて、「2001年宇宙の旅」で度肝を抜かれた。おそらく2001年・・・を見ていなかったらこの作品も理解できなかったことだろう。松本仁志の「大日本人」はおそらくこういう所を目指したのではないかと思われる。
さて本題だが、確かにインテリアやオブジェがキュートだったり近未来的な描写は野暮ったくはない。また、音楽のセンスも秀逸である。しかしながら、この映画が将来を予見している(現代に非常によく当て嵌まる)だとか、管理社会の危うさを表している...みたいな事には頷けない。
ここで語られるのは、あくまで人間が持つ暴力性をシニカルに捉え、これを白日の下に晒しているのだと思う。劇中には暴力を否定する人間は一人として現れない。結局は各人がその利益の為に力を行使するのだ。高尚なフリをしてみても、浅ましくも人はその本能として暴力を持つ、所詮そんなものなのだよ、というメッセージだ。キューブリックの映画の根底には、”輪廻”見たいな事があると思う。その媒介をするのがこの映画では”暴力”ということになる。そうしてみると最後の台詞「I was cured all right.」は意味深い。